階段で膝が痛い・立ち上がる時につらい原因は?理学療法士が教えるセルフケア

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「階段を上るたびに、膝がズキッと痛む」

「イスから立ち上がるとき、最初の一歩が重い」

「下り坂や階段の下りでは、特に膝に力が入らない感じがする」

この記事では、理学療法士の視点から、階段・立ち上がりで膝が痛くなる理由、医療機関への相談が必要なサイン、自宅でできるセルフケアについて解説します。

📋 この記事でわかること(4つのポイント)

  1. なぜ階段・立ち上がりで膝が痛くなるのか
  2. 受診が必要な症状かどうかの目安
  3. 自宅でできるストレッチ・筋トレの具体的なやり方
  4. セルフケアだけでは変わりにくい人への選択肢

なかじま(理学療法士・PT)

整形外科クリニック・スポーツ現場での勤務を経て、現在はわんことの生活を楽しみながら、わんこ旅と体のケアについて発信中。理学療法士の視点から、日常生活で役立つ体の使い方やセルフケアを紹介しています。

なぜ階段・立ち上がりで膝が痛くなるのか

のあ
のあ

平地は大丈夫なのに、なんで階段だけ痛いんだろう?

ぷっく
ぷっく

階段は平地より膝のお皿まわりに負担がかかりやすいから、ちょっとした筋力や柔軟性の変化が出やすいんだよ。

階段で膝が痛い

研究では、平地歩行に比べて、階段の上り下りでは膝のお皿まわりにかかる負担が大きくなることが報告されています。目安として、平地歩行では体重の約1〜2倍、階段では約3〜4倍の力が膝まわりにかかるとされる報告もあります。そのため、「平地は大丈夫なのに、階段だけ痛い」という状態が起こることがあります。

また、上りと下りでは、膝への負担のかかり方が少し違います。

動作 主に働く動き 膝への影響
階段を上る 太もも前の筋肉(大腿四頭筋)が体を持ち上げる 膝を伸ばす力が求められる
階段を下りる 体が落ちすぎないようブレーキをかける(大腿四頭筋の遠心性収縮) 着地時の衝撃を吸収しながら支える
椅子から立ち上がる 座った状態(膝約90度)から体を持ち上げるため、大腿四頭筋に一気に力が入る 体重がかかった状態での伸展で、お皿まわりへの負担が集中しやすい
しゃがむ 立ち上がりより膝が深く曲がるため、大腿四頭筋への負荷がさらに増える 曲げが深いほどお皿への圧迫が増しやすい

「上りで痛いのか」「下りで痛いのか」を分けて考えると、原因やケアの方向性を整理しやすくなります。しゃがむ動作も同じ理由で膝に負担がかかりやすく、トイレ動作や床への動作で痛みを感じる方も同様のケアが参考になります。

膝のお皿まわりが関係していることが多い

なぜ下りで特に痛くなりやすいのか

  1. 膝を曲げながら体重を支える必要があり、膝への負荷が大きくなる
  2. 体が落ちすぎないようにブレーキをかけるため、太もも前の筋肉(大腿四頭筋)の働きが増える
  3. 大腿四頭筋が強く働くと、膝のお皿(膝蓋骨)が太もも骨に押し付けられる
  4. この「押し付け合う力」(膝蓋大腿関節反力)が増えることで、お皿の裏側に圧迫や摩擦が生じやすくなる

太ももの前(大腿四頭筋)の筋力低下や硬さ、股関節・足首の動きにくさが、この負担に影響することもあります。

股関節・足首も関係することがある

膝の痛みは、膝だけが原因とは限りません。

股関節(お尻まわり・外側の筋肉)が硬くなっていたり、股関節外転筋(中殿筋など)の機能が低下していると、膝の安定性に影響することがあります。また、足首を上に向ける動き(背屈)が硬いと、しゃがむ・階段を降りる際に膝への負担が増えやすくなることがあります。整形外科クリニックでの経験でも、これらの組み合わせが膝の痛みに関係するケースをよく見てきました。

セルフケアでは「膝だけ」でなく「股関節・足首も一緒に動かす」視点が役立つことがあります。

こんな症状があるときは医療機関へ

のあ
のあ

セルフケアをやってみたいけど、やっていいのかな……

ぷっく
ぷっく

こういうサインがあるときは、先に病院で診てもらおう。

以下のような症状がある場合は、セルフケアの前に整形外科への相談をおすすめします。

症状 理由
膝が腫れている・熱を持っている 炎症が強い可能性。動かすと悪化することがある
体重をかけると激しく痛む・歩けない 骨折・半月板損傷など、画像検査が必要な可能性
転倒・衝撃などきっかけがはっきりある 靭帯損傷や骨への影響を除外するために診察が必要
膝が「ロック」して伸びない・曲がらない 半月板や軟骨の引っかかりが考えられる
夜間・安静時にも痛む 炎症・関節疾患の可能性があり、専門家の判断が必要
足のしびれや脱力感を伴う 神経への影響が考えられる。腰や股関節との関連も確認が必要

上記に当てはまらず、「動くと痛むが安静にすると治まる」「慢性的にじんわり痛む」場合は、セルフケアから始めることも選択肢になります。ただし、痛みが強くなる場合は中断して医療機関を受診してください。

簡単なセルフチェック

のあ
のあ

自分の膝がどんな状態か、確認する方法ってある?

ぷっく
ぷっく

診断じゃなくて「傾向を知る」くらいの気持ちで試してみて。

以下は医療的な診断ではありません。「今の膝の状態の傾向を知る」ための目安として参考にしてください。

片脚立ちを10秒 グラつきが大きい場合、股関節まわりの筋力低下が関係している可能性がある → ヒップリフト・スクワットが参考になります
椅子から立ち上がるとき 「よっこいしょ」と手をつかないと立てない場合、太もも前の筋力が弱くなっている可能性がある → クアドセッティング・スクワットが参考になります
階段を下りるとき 下りで上りより痛い場合、衝撃を吸収するブレーキ力(遠心性筋力)の低下が関係している可能性がある → ステップアップ&ダウンが参考になります

ただし、痛みが出る場合は無理に行わず、まずは負担の少ない運動から始めてください。

自宅でできるセルフケア

のあ
のあ

何から始めたらいいの?

ぷっく
ぷっく

まずはストレッチで柔軟性を整えて、それから筋トレで支える力をつけていくのがおすすめだよ。

以下のセルフケアは、痛みが強くない安定した状態で行ってください。痛みが強い時期、腫れ・熱感がある時は中止して医療機関を受診してください。

ストレッチ

大腿四頭筋(太もも前)のストレッチ

太もも前の筋肉(大腿四頭筋)は、階段の上り下りや立ち上がりでよく働く筋肉です。使いすぎや運動不足で硬くなると、膝蓋大腿関節(お皿まわり)への負担が増えることがあります。

  • 椅子や壁に片手を添えて体を安定させる
  • 片方の膝を曲げ、足の甲を持ってかかとをゆっくりお尻に近づける
  • 太もも前に伸びを感じたところで15秒キープ
  • 腰が反らないよう注意し、曲げた膝が体より前に出すぎないようにする
  • 左右それぞれ行う(目標:1日2〜3セット)
大腿四頭筋ストレッチ
立位で片足を後ろに曲げ、太もも前を伸ばす
こんな人に:階段の上り下り・立ち上がりで膝の前側に痛みが出やすい方、長時間座った後に膝が重い感じがする方

ハムストリングス(太もも裏)のストレッチ

太もも裏の筋肉が硬くなると、膝を伸ばす動作の負担が増えることがあります。椅子に座ったまま行えるため、日常のすき間時間に取り入れやすいストレッチです。

  • 椅子に浅く腰掛け、片脚を前にまっすぐ伸ばす
  • つま先を上に向ける
  • 背筋を伸ばしたまま、股関節から上体をゆっくり前に倒す
  • 太もも裏に伸びを感じたところで20秒キープ
  • 左右それぞれ行う(腰が丸まらないよう注意)
ハムストリングスストレッチ(椅子)
椅子に座り片脚を前に伸ばして、上体を前に倒す
こんな人に:階段の上りで膝が痛みやすい方、太もも裏の張り感が気になる方

腸腰筋(股関節前面)のストレッチ

股関節前面の筋肉(腸腰筋)が硬くなると、立ち上がりや階段の上りで骨盤が前に傾きやすくなり、膝への負担が変わることがあります。

  • 片足を大きく後ろに引き、前足の膝は足首の真上にくるよう位置を合わせる
  • 骨盤を立てたまま、体を前にゆっくりスライドさせ後ろ足の股関節前面を伸ばす
  • 背筋を伸ばしたまま20秒キープ
  • お腹を軽く引き締め、腰が反らないよう注意する
  • 左右それぞれ行う
腸腰筋ストレッチ(深いランジ)
深いランジ姿勢で股関節前面をしっかり伸ばす
こんな人に:座り続けた後に立ち上がると膝が痛みやすい方、股関節前面の張りが気になる方

筋力トレーニング

大腿四頭筋セッティング(クアドセッティング)

スクワットなど膝を動かすトレーニングの前に、まず「大腿四頭筋に力が入る感覚」をつかむ基礎ステップです。膝をほとんど動かさずに行えるため、負担が少なく、筋肉への意識を高めやすいという特徴があります。

  • 仰向けに寝て、膝の下にバスタオルを丸めて置く
  • つま先をしっかり上に向ける
  • 膝の裏でタオルをしっかり押し込むように大腿四頭筋に力を入れる
  • 3秒キープしてゆっくり緩める
  • 15回×2セット(1日2〜3セットを目標)
  • 太ももの前に力が入っていることを意識する
大腿四頭筋セッティング(クアドセッティング)
仰向けでタオルを押し込み、太もも前に意識して力を入れる
こんな人に:まず筋肉に力を入れる感覚を確かめながら始めたい方、スクワットの前の準備として取り入れたい方

ヒップリフト(お尻・股関節まわり)

お尻(大殿筋・中殿筋)の筋力は、膝の安定性に関係します。仰向けで行うため膝への直接的な負担が少なく、クアドセッティングに慣れたら次のステップとして取り入れやすいトレーニングです。

  • 仰向けに寝て、両ひざを立て足は腰幅に開く
  • お腹に軽く力を入れ、腰を反らしすぎないよう意識する
  • お尻をしめながらゆっくり持ち上げる
  • ゆっくり下ろす。10回×2セット(1日2〜3セットを目標)
  • 膝が開きすぎないよう注意する
ヒップリフト
お尻をしめながらゆっくり持ち上げ、大殿筋を鍛える
こんな人に:膝を直接動かすトレーニングが不安な方、お尻・股関節まわりの筋力を整えたい方

イスを使ったスクワット(大腿四頭筋・お尻)

太もも前(大腿四頭筋)とお尻(大殿筋)を立った姿勢で使いやすくする練習です。階段・立ち上がりの動作に近く、日常生活にもつなげやすい練習です。

  • 椅子の前に立ち、足を肩幅に開く
  • 背中を丸めず、胸を軽く張る
  • お尻を後ろへ引きながら、椅子に当たるまでゆっくりしゃがむ
  • かかとで床を押すようにして、ゆっくり立ち上がる
  • 膝が内側に入らない・つま先より膝が前に出すぎないよう意識する
  • 10回×2セット(1日2〜3セットを目標)
椅子を使ったスクワット
お尻を後ろへ引きながらしゃがみ、かかとで押して立ち上がる
こんな人に:立ち上がりで膝が気になる方、階段の上りに不安がある方

ステップアップ&ダウン(遠心性トレーニング)

⚠️ このトレーニングについて

片脚で体重を支えるため、上記3種目に慣れてから取り入れることをおすすめします。必ず手すり・壁・椅子の背もたれなど、つかまれる場所を確保した状態で行ってください。バランスに不安がある方・膝に強い痛みがある方は無理に行わないでください。

階段の下りで痛みが出やすい方向けのトレーニングです。片脚を段差に乗せて体を持ち上げる「ステップアップ」と、その逆にゆっくり下ろす「ステップダウン」をセットで行います。特に、ゆっくり下ろす動作(ステップダウン)は、階段を下りる時に必要な支える力を身につける練習になります。ゆっくり下ろすほど負荷が高まるため、最初は3秒から始めて慣れてきたら5秒を目標にしましょう。

  • 階段の一段、または10〜15cm程度の安定した台を用意する
  • 必ず手すりや壁に手を添えて行う
  • 【ステップアップ】片脚を段差に乗せ、背筋を伸ばしてゆっくり体を持ち上げる
  • 【ステップダウン】上がったら、もとの位置へ3〜5秒かけてゆっくり下ろす ← ここが重要
  • 膝が内側に入らないよう意識する
  • 左右それぞれ5〜10回×1〜2セットから始める
ステップアップ
①ステップアップ:片脚で段差に乗り、体をゆっくり持ち上げる
ステップダウン
②ステップダウン:3〜5秒かけてゆっくり下ろす。このブレーキ動作が、階段を下りる時に必要な支える力を身につける練習になります

いずれも、痛みが出る動作は無理に行わないことが大切です。「少し張る感じ」と「痛み」は違います。痛みが出た場合は中止してください。

💡 PT視点のポイント
筋力は「続けること」で変化が生じやすくなります。週2〜3回、無理のない範囲で続けることが大切です。1〜2回やって変化がないからといって諦める必要はありません。研究においても、継続的な筋力トレーニングは膝の機能低下に関係する筋力の変化に影響を与えることが示されています(Bacon et al. 2021)。

自宅ケアで変わりにくい方へ

のあ
のあ

セルフケアを続けても、なかなか変わらない時はどうしたらいい?

ぷっく
ぷっく

人に動きを見てもらいながら取り組むと、自己流では気づかないことが見えてくることがあるよ。

自宅でのセルフケアが続けにくい、変化を感じにくいという場合は、専門のインストラクターやトレーナーとともに取り組む選択肢もあります。

💡 多くのスタジオやジムでは、まず初回体験から始められます。いきなり入会しなくて大丈夫です。

ただし、膝の痛みが強い場合や、腫れ・熱感・ロック感がある場合は、スタジオやジムの体験より先に医療機関へ相談してください。

Rintosull(マシンピラティス)

専用マシンを使いながら、体幹や姿勢を意識した動きを学べるマシンピラティスのスタジオです。膝・股関節まわりの筋力や体の使い方を整えたい方に向いていることがあります。マンツーマンまたは少人数制で、インストラクターに動き方を見てもらいながら進められます。

→ Rintosullの体験レッスンを見てみる

DEP(パーソナルマシンピラティス)

全スタッフが理学療法士または作業療法士の国家資格保有者というパーソナルマシンピラティスのスタジオです。マンツーマン・半個室で体の状態を個別に確認してもらえるため、膝や股関節の悩みについても相談しやすい環境です。男女ともに利用できます。

DEP

→ DEPの無料体験を確認する

NEXUS(パーソナルトレーニング)

マンツーマンでトレーナーにフォームや動き方を見てもらいながら取り組めるパーソナルジムです。膝・股関節まわりの動き方や筋力の使い方についても相談しやすい環境です。しっかりトレーナーに見てもらいたい方に向いています。

→ NEXUSのトレーニング詳細を見てみる

ZENNA(オンラインパーソナル)

自宅でオンラインでトレーナーに動きを見てもらいながら進めるパーソナルトレーニングです。通う時間が取りにくい方や、自宅での動き方を確認したい方の選択肢になります。

📖 こんな方は、一度読んでみてください

  • ✅ 階段や立ち上がりのたびに膝が痛くて、外出が億劫になっている
  • ✅ ストレッチや筋トレをしても、膝の痛みがまた戻ってくる
  • ✅ 姿勢やケアを意識しているのに、また膝が痛くなる

体の使い方のクセは、自分ではわかりにくい部分が多いものです。気になる方は、専門家に一度動きを見てもらう機会を作ってみてください。

▶ ヨガ・ピラティスの違いと選び方を見る

→ ZENNAの体験レッスンを見てみる

まとめ

のあ
のあ

ぷっく、まとめると結局どうすればいいの?

ぷっく
ぷっく

まず受診サインがないか確認して、なければ小さなことから始めてみよう。のあとの散歩をずっと楽しめるように、膝のことを少しずつ大切にしていこう。

📍 まず確認 💪 セルフケア 🏥 受診の目安
上りと下りのどちらで痛いかを分けて考える 太もも前・お尻・股関節まわりのストレッチ+筋トレを続ける 腫れ・熱感・ロック・夜間痛・転倒後は早めに整形外科へ

膝・股関節・足首はつながって動いています。膝だけを見るのではなく、全体の動きを少しずつ整えていくことが、長く歩き続けるための土台になります。

膝の痛みと合わせて、わんこと暮らす人の体のケア全体が気になる方は、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。

参考文献

・Reilly DT & Martens M. (1972). Experimental analysis of the quadriceps muscle force and patello-femoral joint reaction force for various activities. Acta Orthopaedica Scandinavica.
・Boling M, et al. (2010). Gender differences in the incidence and prevalence of patellofemoral pain syndrome. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports.
・Powers CM. (2010). The influence of abnormal hip mechanics on knee injury. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy.
・Thomas DT, et al. (2015). Hip abductor strengthening in patients diagnosed with knee osteoarthritis. Journal of Physical Therapy Science.
・Bacon DRK, et al. (2021). Concurrent change in quadriceps strength and physical function over 5 years in adults with knee osteoarthritis. Arthritis Care & Research.
・Juhl C, et al. (2014). Impact of exercise type and dose on pain and disability in knee osteoarthritis: A systematic review and meta-regression analysis of randomized controlled trials. Arthritis & Rheumatology.

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