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わんこを抱っこしようとして、腰に「ズキッ」ときた。抱き上げた瞬間ではなく、そのあと腰が重く残る。シニアになって抱っこの回数が増えてから、腰の不安がずっと頭の片隅にある……。
わんこと暮らしていると、抱っこは毎日の当たり前の動作です。でも「床から持ち上げる」「車に乗せる」「階段で抱える」といった抱っこの動きは、実は腰にとって負担が集まりやすい場面でもあります。
📋 この記事でわかる3つのこと
- 抱っこで腰が痛くなる理由は「持ち上げ方」だけではない
- 腰にやさしい抱き上げ方の鍵は「体に近づける・ひねらない」
- 抱っこに備える体づくりが、毎日の負担を減らしていく
この3つを知っておくと、毎日の抱っこで腰に負担をかけにくい工夫がしやすくなります。
私は理学療法士として15年、腰痛のリハビリに関わってきました。そして自分自身も、相棒のわんこを何度も抱っこするなかで、腰の負担と向き合ってきた一人です。特にぷっくが年老いて、体調を崩してからは、抱き上げる機会が一気に増えました。通院やお世話のたびに抱っこを繰り返すうちに、自分の腰にも疲れが溜まっていくのを実感しました。
この記事では、抱っこを続けながら腰への負担を減らすための考え方と実践的なコツを、理学療法士の知識と、わんこと暮らしてきた経験の両方からお伝えします。
この記事を書いた人
なかじ|理学療法士(15年)。整形外科クリニックでの勤務経験があり、腰痛・関節の痛みのリハビリを数多く担当。トイプードルの「のあ」と暮らし、九州を中心にわんこ旅を楽しんでいます。専門用語はできるだけ避け、毎日の生活で実践しやすい形にかみくだいてお伝えします。
なぜ抱っこで腰が痛くなるのか

ぼくって小さいのに、なんで抱っこで腰が痛くなるの?

重さより、「体から遠い位置で持つこと」と「ひねりながら持つこと」の方が、腰にはこたえるんだよ。
「うちの子は3〜4kgしかないのに、なぜ腰が痛くなるの?」と思う方は多いです。実は、腰への負担を決めるのは重さそのものより「持ち方」です。ポイントは次の3つです。
抱っこで腰に負担が集まりやすい3つの要素
- 体から遠い位置で持つ——腕を前に伸ばして持つほど、腰にかかる力(てこの負担)が大きくなります
- ひねりながら持つ——体をねじりながら抱き上げる動きは、腰への負担が増えやすいことが知られています
- 床など低い位置から持ち上げる——一番低い位置からの抱き上げは、前かがみが深くなり負担がかかりやすい
持ち上げ動作の研究でも、荷物を体に近づけて持つほど背骨にかかる圧力が減ることが示されています。逆に、体から離れた位置で持つと、同じ重さでも腰まわりの筋肉が強く働かなければならず、負担が増えます。わんこは軽くても、「腕を伸ばして」「ひねりながら」「低い位置から」抱き上げると、腰にとっては小さくない負荷になるのです。
もちろん、中型犬・大型犬では重さそのものの影響も大きくなります。また、犬種やサイズを問わず、シニアになったり介護が必要になったりすると、抱っこの出番は急に増えます。「うちの子は大きいから抱っこは関係ない」という方こそ、いざというときのために持ち方を知っておくことが、自分の腰とわんこの両方を守ることにつながります。
そしてもう一つ大切なのが、繰り返しと疲労です。1回の抱っこは軽くても、1日に何度も繰り返せば累積した負担になります。特に「前かがみで作業した直後」や「疲れて気が緩んだとき」に急に抱き上げると、思わぬ負担が腰に集中しやすくなります。
腰に負担がかかりやすい抱っこの場面

どんな抱っこの場面が、特に腰に来やすいの?

床から・車へ・急に暴れたとき。この3つは特に注意だよ。
⚠️ 特に腰への負担が積み重なりやすい抱っこの場面
| 場面 | なぜ負担が大きいか | 工夫のポイント |
|---|---|---|
| 床から抱き上げる | 一番低い位置からの持ち上げ。前かがみが深くなり、腕も遠くなりやすい | まずわんこに近づき、股関節から腰を落として体に引き寄せてから持つ |
| 車・ソファへの乗せ降ろし | 抱えたまま体をひねる・中腰・片脚重心が同時に重なりやすい | 体ごと向き直ってから乗せる。ステップ台の併用も有効 |
| 階段の上り下りで抱える | 不安定な足元で片手抱っこになりやすく、体幹がぶれる | 両手で体に密着させ、手すりを使って一段ずつゆっくり |
| 長時間の抱っこ・立ち抱き | 同じ姿勢が続き、片側の腰・骨盤に負担が偏りやすい | 左右で抱え替える。長くなるならスリングやカートも検討 |
| 急に暴れた・飛び降りようとした | とっさに支えようとひねる・踏ん張るが重なり、不意の負荷がかかる | 声をかけてから抱く。落ち着かせてから持ち上げる |
どの場面にも共通するのは、「体から遠い・ひねる・低い位置・不意打ち」のどれかが混ざっていることです。裏を返せば、近づいて・正面で・股関節から・声をかけてから抱くだけで、負担はぐっと減らせます。
こんな症状があるときは医療機関へ

どんな腰痛なら、病院に行った方がいいの?

足のしびれや脱力があったら、セルフケアの範囲じゃないよ。先に受診してね。
抱っこや前かがみのあとに腰が重くなる程度であれば、動作の工夫やストレッチで対応できる場合もあります。ただし、以下の症状がある場合はセルフケアより先に医師の診察を受けてください。
🚨 こんな症状は早めに受診を
- 足のしびれ・脱力感がある
- 排尿・排便のコントロールに異常を感じる
- 夜間や安静時にも強く痛む
- 発熱を伴う腰痛
- 原因不明の体重減少がある
- 転倒・転落後や、抱き上げた直後から強い痛みが出た
- 安静にしていても改善しない強い痛みが続く
- がん・感染症・骨粗しょう症などの既往がある
腰痛のほとんどは特定の「危険な原因」がない非特異的腰痛ですが、上記のサインは見逃さないようにしてください。怖がりすぎる必要はありませんが、こうした症状は専門家に診てもらうことが大切です。
腰にやさしい抱き上げ方

じゃあ、どうやって抱き上げれば腰にやさしいの?

合言葉は「近づいて・股関節から・体に密着・ひねらない」。この4つだよ。
📌 腰にやさしい抱き上げの4ステップ
- 近づく——腕を伸ばさず、まず自分がわんこの近くへ移動する
- 股関節から折る(ヒップヒンジ)——腰を丸めるのではなく、お尻を後ろに引いて股関節を支点に上体を倒す
- 体に密着させて持つ——わんこをおなか・胸に引き寄せてから抱える
- ひねらず、脚の力で立つ——上体をねじらず、正面を向いたまま太もも・お尻の力で立ち上がる
ここで大切なのが、2の「ヒップヒンジ」という動き方です。腰を丸めて曲げるのではなく、股関節(お尻の付け根)を支点に折りたたむ動きのことで、腰への負担を減らしやすくなります。「腰を落とす」と言っても、腰を丸めるのではなく、お尻を後ろに引くイメージです。


🦵 PT目線:片手抱っこと「不意打ち抱っこ」に注意
スマホを持ちながらの片手抱っこは、体が横に傾いて腰の片側に負担が偏りやすくなります。できるだけ両手で、体の正面で抱えましょう。また、わんこが急に動くと、とっさにひねって支えようとして腰を痛めやすくなります。抱き上げる前に一声かけて、落ち着かせてから持つ——これだけでも不意の負担を減らせます。
スリング・カート・ステップ台も「腰の味方」
道具に頼るのは悪いことではありません。長時間の抱っこが多い方は抱っこ用スリングを使うと、わんこが体に密着して重心が安定し、腕と腰の負担を減らしやすくなります。車やソファへはステップ台を使えば、そもそも抱き上げる回数を減らせます。シニア犬や足腰が弱ってきた子には、ペットカートも選択肢です。「がんばって抱える」より「抱える回数を減らす工夫」の方が、腰にはやさしいこともあります。
🛒 抱える回数を減らしたい方に|折りたたみペットカート
今すぐできる対処|腰サポーターで負担を分散しながら続ける
動作の工夫や筋トレは、続けることで少しずつ効果が積み重なりますが、体が変わるまでには数週間〜数ヶ月かかります。その間も、毎日の抱っこは待ってくれません。
複数の研究で、腰サポーターの使用が腰痛の軽減に一定の効果をもたらす可能性が報告されています。抱っこの回数が多い時期や、腰に不安がある日の「お守り」として取り入れるのも選択肢のひとつです。
腰サポーターが負担を軽減しやすいとされる主なしくみ
- 腹腔内圧を補助することで、腰椎への圧力が分散されやすくなる
- 体幹を軽くサポートすることで、姿勢への意識が高まりやすくなる
- 保温により、腰まわりが冷えにくくなる
ただし、長時間・常用しすぎると、腰まわりを自分で支える意識が弱くなりやすい面もあります。動作の工夫や筋トレと組み合わせながら、必要な場面で補助的に使うのがおすすめです。腰痛を直接治すものではなく、あくまで日常を続けやすくするための補助として考えるとよいでしょう。
📦 抱っこ中の腰をサポートするグッズ
抱っこに備える筋トレ・ストレッチ

抱っこのために、体を鍛えた方がいいの?

股関節が柔らかくて、お尻の力が使えると、抱っこがぐっとラクになるよ。
ヒップヒンジで抱き上げるには、股関節まわりの柔軟性と、お尻・体幹の筋力の両方があると動きやすくなります。ここでは、抱っこの動作を支える土台づくりとして取り入れやすいものを紹介します。痛みが出ない範囲で、無理なく続けてみてください。
股関節・太もものストレッチ
前かがみや座位が多い生活では、股関節前面(腸腰筋)や太もも裏(ハムストリングス)が硬くなりがちです。ここが硬いと、ヒップヒンジで股関節をうまく折りたためず、腰を丸めた前かがみで代償しやすくなります。


お尻・股関節まわりの筋トレ
お尻の筋肉(大臀筋・中臀筋)が使えると、抱き上げるときに腰だけに頼らず、脚とお尻の力で持ち上げやすくなります。


抱っこを支える体幹トレーニング
体幹が安定すると、抱っこ中に姿勢がぶれにくくなります。体幹トレーニングは、非特異的腰痛の痛み軽減に有利になり得るとするレビューもあります。抱っこ・散歩・お世話の動きに使える体幹づくりを目標にしましょう。


お世話全般で腰が気になる方は、犬のお世話で腰が痛い人へも、前かがみ・床動作を含めた腰対策としてあわせて参考にしてみてください。
PTコラム|「腰で持ち上げない」体の使い方

「腰で持ち上げない」って、どういうこと?

腰を支点にするんじゃなくて、股関節を支点に動くってことだよ。
「抱っこは膝を曲げてスクワットで」とよく言われます。もちろん低い位置から抱き上げるときには理にかなった動きですが、実は「しゃがめば腰痛を防げる」とは科学的に言い切れないことがわかっています。持ち上げ方(しゃがむ vs 前かがみ)を比較した研究のレビューでは、どちらが腰痛予防に優れているか明確な差は出ていません。
では何が大切かというと、より確かな根拠があるのは次の2つです。
- 荷物(わんこ)を体に近づける——体の近くで持つほど、腰にかかる力は小さくて済みます
- ひねりながら持ち上げない——体をねじりながらの持ち上げは、腰への負担が増える要因として知られています
つまり、大事なのは「完璧にしゃがむこと」よりも、体に密着させて、ひねらずに、股関節から動くこと。腰を支点に上体だけを起こそうとすると、腰の一点に力が集中します。股関節を支点に、お尻と太ももの大きな筋肉を使って立ち上がる——これが「腰で持ち上げない」という体の使い方です。
私自身、相棒のぷっくが年老いて、そして病気で体調を崩してからは、抱き上げる回数が本当に増えました。自分で立ち上がるのがつらくなったぷっくを支え、通院やお世話のたびに何度も抱っこする日々。恥ずかしい話ですが、理学療法士の私でも、疲れて気が緩んだ瞬間に腰を丸めて持ち上げてしまい、翌日に腰が重く残ったことが何度もありました。そのとき改めて実感したのは、「頭で分かっていても、疲れているときこそ体の使い方が崩れる」ということ。だからこそ、抱き上げ方を”考えなくてもできる”くらい体に馴染ませておくこと、そして日頃から股関節とお尻を動かしておくことが、大切な家族を支え続けるための備えになるのだと思います。
自宅ケアで変わりにくい方へ

一人で続けるの、難しいな…

無理しなくていいよ。専門家に見てもらいながら始める方法もあるよ。
抱っこの負担は、自宅でのストレッチや軽い運動で対応できることもあります。ただし、フォームが合っているか不安、一人だと続かない、運動すると別の場所が気になる、という場合は、ピラティスやヨガ、パーソナルトレーニングなど、専門家に動きを見てもらうことも選択肢のひとつです。股関節とお尻を使った体の動かし方は、こうした場で身につけやすい部分でもあります。
⚠️ ご注意
体験参加時は腰に痛みがあることを事前にスタッフへお伝えください。痛みが強くなる場合は中止してください。強い痛みや日常生活に支障がある場合は、まず医療機関へご相談ください。
💡 まずは体験1回から始められます
多くのスタジオやジムでは、初回体験から始められます。「どんな運動か知りたい」「続けられるか試したい」という段階から参加できます。
※サービスの内容・料金・体験条件は時期によって変わることがあります。体験申し込み前に各公式サイトでご確認ください。
※スマホの方は、表を横にスクロールしてご覧ください。
| 項目 | マシンピラティス Rintosull |
暗闇マシンピラティス BeatPilates |
ホットヨガ LAVA |
パーソナル NEXUS |
オンラインパーソナル ZENNA |
|---|---|---|---|---|---|
| 主な目的 | 姿勢・体幹を意識しながら動く | 暗闇空間で体幹・姿勢にアプローチ | 呼吸に合わせて全身を動かす | マンツーマンでフォーム・筋力を整える | 自宅でオンライン指導を受けながら動く |
| 形式 | 少人数(指導型) | 女性専用・暗闇空間 | グループ(通い型) | パーソナル(マンツーマン) | オンライン(マンツーマン) |
| 通い方 | 通う | 通う | 通う | 通う | 自宅 |
| 雰囲気 | インストラクターと会話しながら | 音楽に乗って・周りの目を気にしない | 呼吸とともにゆったり | トレーナーと一対一で | 画面越しに自分のペースで |
| こんな人に | 抱っこや前かがみで崩れた体幹を立て直したい人 | 体幹を鍛えたいが人目が気になる人 | 毎日のこわばりをゆるめたい人 | フォームや筋力を根本から見てもらいたい人 | 通う時間が取りにくく、自宅で見てもらいたい人 |
| 対象 | 女性向け | 女性専用 | 女性向け(男性可店舗あり) | 男女どちらも | 男女どちらも |
| 体験・詳細 |
Rintosull |
BeatPilates |
LAVA |
NEXUS
|
ZENNA |
✅ こんな方は、専門家に動きを見てもらうのも選択肢です
- ✅ ストレッチをしても、腰のつらさがまた戻ってくる
- ✅ 抱っこや前かがみの動作で、腰に負担を感じる
- ✅ 体の使い方を意識しているのに、また腰が痛くなる
体の使い方のクセは、自分ではわかりにくい部分が多いものです。気になる方は、専門家に一度動きを見てもらう機会を作ってみてください。
▶ ヨガ・ピラティスの違いと選び方を見るまとめ|抱っこは「近づいて・股関節から・体に密着・ひねらない」

まとめると、腰が痛くても抱っこは続けていいの?

抱き方を少し変えて、股関節とお尻を育てておけば、抱っこはずっと続けられるよ。大切な時間だからね。
抱っこをやめる必要はありません。大切なのは、抱き方を少し変えることと、体の土台を育てておくことです。
| 🐕 抱き方 | 近づいて・股関節から折り・体に密着・ひねらずに脚で立つ |
| 💪 体づくり | 股関節の柔軟性+お尻・体幹の筋力で、腰だけに頼らない |
| 🏥 受診の目安 | 足のしびれ・脱力、夜間痛などがあれば、迷わず医療機関へ |
「腰で持ち上げる」から「股関節で持ち上げる」へ。この意識の切り替えだけで、毎日の抱っこから腰への負担が変わります。わんことの時間を、腰と上手に付き合いながら、これからも長く楽しんでいきましょう。
📖 あわせて読みたい
参考文献
- van Dieën JH, Hoozemans MJM, Toussaint HM. Stoop or squat: a review of biomechanical studies on lifting technique. Clinical Biomechanics. 1999;14(10):685-696.
- Kingma I, Faber GS, van Dieën JH. How to lift a box that is too large to fit between the knees. Ergonomics. 2010.
- Marras WS, et al. The role of dynamic three-dimensional trunk motion in occupationally-related low back disorders. Spine. 1993.
- van Duijvenbode IC, et al. Lumbar supports for prevention and treatment of low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2008.






