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「歩くと股関節が痛い」
「立ち上がる時に鼠径部が痛い」
「しゃがむと股関節が詰まる感じがする」
「わんこの散歩中に、股関節の外側が気になる」
このような股関節の違和感は、年齢のせいだけで片づけられないことがあります。
股関節の痛みには、筋力低下、柔軟性の低下、歩き方、座りすぎ、階段、荷物の持ち運びなど、日常生活での負担が関係していることもあります。
また、痛みの出る場所や動作によって、考えたい原因やケアの方向性は変わります。
この記事では、理学療法士の視点から、股関節が痛い・詰まる感じがする時に考えたい原因、自宅でできるセルフケア、医療機関に相談したほうがよいサインをわかりやすく解説します。
📋 この記事でわかること
- 股関節の痛みは「どこが痛いか・どんな動作で痛いか」で原因が変わる
- 「安静にしすぎる」と、かえって動きにくくなることがある
- 自宅でできるセルフケア(ストレッチ・お尻の運動)を紹介する
- こんな症状は医療機関へ——受診のサインもわかる
なかじま(理学療法士・PT)
整形外科クリニック・スポーツ現場勤務を経て、現在は愛犬との生活を楽しみながら、わんこ旅と体のケアについて発信中。理学療法士の視点から、日常生活で役立つ体の使い方やセルフケアを紹介しています。
股関節の痛みは「どこが痛いか」で考える

股関節が痛いって、どのあたりが痛いの?

どこが痛いかによって、原因が違うんだ。まず場所を確認してみよう。
股関節の痛みといっても、痛む場所は人によって違います。前側が痛い人もいれば、外側が痛い人もいます。お尻の奥が痛いと感じる人もいれば、「痛い」というより「詰まる」「引っかかる」と感じる人もいます。
まずは、股関節のどこに違和感があるのかを分けて考えてみましょう。
| 痛む場所 | 関係しやすい原因の例 | よくある動作・場面 |
|---|---|---|
| 前側・鼠径部 | 腸腰筋の硬さ・股関節への負担 | 立ち上がり・階段上り・歩き始め |
| 外側 | 中殿筋・小殿筋の弱化 | 歩行・片脚立ち・階段・わんこの散歩 |
| お尻側 | お尻まわりの筋肉・腰からの影響 | 長時間座位・歩行 |
| 詰まり感 | 関節内の問題・筋肉の硬さ・姿勢 | しゃがむ・あぐら・深く座る |
股関節の前側・鼠径部が痛い
股関節の前側や鼠径部が痛い場合、股関節そのものの動きや、股関節の前側にある筋肉が関係していることがあります。鼠径部とは、太ももの付け根あたりのことです。
たとえば、歩き始めに股関節の前側が痛い、椅子から立ち上がる時に付け根が痛い、階段を上る時に鼠径部が気になる、長く座った後に股関節の前側がこわばる、といった場合は、腸腰筋や大腿直筋など、股関節の前側にある筋肉の硬さや使い方が関係していることがあります。
また、股関節の関節そのものに負担がかかっている場合もあるため、痛みが長引く時は自己判断しすぎないことも大切です。
股関節の外側が痛い
股関節の外側が痛い場合、お尻の横にある中殿筋や小殿筋といった筋肉、またはその腱が関係していることがあります。中殿筋は、歩く時や片脚で立つ時に骨盤を支える大切な筋肉です。
この筋肉がうまく働きにくくなると、歩く時や階段、犬の散歩中に片脚へ体重が乗った時、股関節の外側に負担を感じやすくなることがあります。
歩くと股関節の外側がだるい、階段で股関節の横が疲れやすい、横向きで寝ると股関節の外側が気になる、わんこの散歩でリードを引かれた時に外側が痛む、といった場合は、お尻の横の筋肉がうまく使えているかを見直すことが大切です。
お尻側が痛い
股関節の痛みは、太ももの付け根だけでなく、お尻側に出ることもあります。お尻の奥が痛い、座っているとだるい、歩くとお尻の横から後ろが気になるという場合、股関節まわりの筋肉や、腰からの影響が関係していることがあります。
特に、長時間座ることが多い人は、お尻まわりの筋肉が硬くなりやすく、股関節の動きが悪く感じることがあります。
ただし、お尻側の痛みには、腰からくる痛みや神経症状が関係する場合もあります。しびれがある、足先まで症状が広がる、力が入りにくいといった症状がある場合は、医療機関に相談してください。
しゃがむと詰まる感じがする
股関節を深く曲げた時に、前側が詰まる、奥で引っかかる感じがする、しゃがむと股関節の前が痛い、あぐらや深く座る姿勢がつらい、といった場合は、股関節の動き方や関節内の問題が関係していることがあります。
専門的には、FAI(股関節インピンジメント)と呼ばれる問題が関係することもあります。FAIとは、股関節を動かした時に大腿骨(太ももの骨)と骨盤側の骨が接触しやすくなっている状態のことで、しゃがむ・あぐら・深く座るといった動作で詰まりや痛みが出やすいのが特徴です。ただし、「詰まり感がある=必ずFAI」というわけではありません。筋肉の硬さ、姿勢、骨盤の動き、股関節の使い方など、複数の要素が関係することがあります。
大切なのは、詰まり感を無理に押し込むようなストレッチをしないことです。
⚠️ 股関節の「詰まり感」がある時の注意点
しゃがんだ時に股関節の前側が詰まる、引っかかる、奥が痛い感じがある場合、無理に深く曲げるストレッチを続けると、かえって痛みが強くなることがあります。「伸ばせば楽になるはず」と自己判断せず、詰まり感が強い、毎回同じ動きで痛む、痛みが長引く場合は、整形外科など医療機関への相談をおすすめします。
股関節が痛くなる主な原因

股関節って、なんで痛くなるの?

筋力、柔軟性、歩き方……いくつかの原因が重なっていることが多いんだよ。
股関節が痛くなる原因は1つだけではありません。以下のように、複数の原因が関係していることが多いです。
| 原因 | 主な特徴 | 関係しやすい痛みの場所 |
|---|---|---|
| 筋力低下 | お尻・太もも・体幹の筋肉が衰えると、関節への負担を支えにくくなる | 股関節全体 |
| 中殿筋の弱化 | お尻の横の筋肉がうまく使えないと、歩く時に骨盤が左右に揺れやすくなる | 外側 |
| 腸腰筋の硬さ | 長時間座ると股関節前面が硬くなりやすく、歩き始めや立ち上がりに負担がかかりやすい | 前側・鼠径部 |
| 日常生活の負担 | 座りすぎ・急な長距離歩行・階段・坂道など、小さな負担の積み重なり | 股関節全体 |
| 変形性股関節症・臼蓋形成不全 | 関節の軟骨や骨の変化が関係することがある。日本人では臼蓋形成不全が関係するケースも多い。臼蓋形成不全とは、生まれつき股関節の骨のかぶりが浅く、関節への負担が一部に集中しやすい状態のこと | 股関節全体・鼠径部 |
| FAI(股関節インピンジメント) | 股関節を動かした時に骨同士が接触しやすくなっている状態。しゃがむ・あぐら・深く座る動作で出やすい | 前側・詰まり感 |
このうち、特に日常生活で関係しやすいのが中殿筋の弱化と腸腰筋の硬さです。どちらも座りすぎ・運動不足で起こりやすく、セルフケアを取り入れやすい原因のひとつです。
変形性股関節症やFAIなど関節そのものに問題がある場合は、まず整形外科で状態を確認してもらうことが大切です。「股関節が痛い=必ず骨の問題」というわけではありませんが、痛みが長引く時は自己判断せず専門家に相談してください。
「股関節が痛いから安静に」が逆効果になることもある

痛い時は、じっとしてた方がいいんじゃないの?

強い痛みの時は無理しなくていい。でも、ずっと動かさないのも考えものなんだ。
股関節が痛いと、「できるだけ動かさないほうがいいのかな」と思う方も多いと思います。もちろん、強い痛みがある時に無理に動かす必要はありません。痛みが強い時に無理をすると、かえって負担が増えることがあります。
ただ、痛みが落ち着いているのに長く動かさない状態が続くと、股関節まわりの筋力や柔軟性が落ち、かえって動きにくさにつながることがあります。
研究でも、股関節の変形性関節症に対して運動療法が痛みや機能の維持に関係することが示されています(Teirlinck et al. 2023)。
つまり、股関節が痛い時に大切なのは、「とにかく安静」でも「無理に運動」でもありません。痛みを悪化させない範囲で、股関節まわりの筋力と柔軟性を少しずつ整えていくことです。
💡 ただし「動かせばいい」わけではありません
- 強い痛みがある時は無理に動かさない
- 痛みを悪化させない範囲で行う
- 動かした後に痛みが強く残る場合は中止する
- 長引く痛み、夜間の痛みは医療機関に相談する
股関節が痛い人におすすめのセルフチェック

自分の股関節の状態って、どうやって確認するの?

いくつかの動作でざっくり確認できるよ。診断じゃなくて、目安として使ってね。
ここからは、股関節の状態を確認するためのセルフチェックを紹介します。ただし、セルフチェックは診断ではありません。「できない=病気」という意味ではなく、股関節まわりの筋力や動きにくさを見直す目安として考えてください。痛みが強い場合は無理に行わず、医療機関に相談してください。
| チェック | やり方 | 気になるサイン |
|---|---|---|
| 片脚立ち | 壁や椅子の近くで片脚立ち。10秒キープできるか確認 | 体が大きく揺れる・骨盤が傾く・外側が痛い・すぐ足をつきたくなる |
| 椅子からの立ち上がり | 椅子に浅く腰かけ、手を使わずにスムーズに立てるか確認 | 前側が痛い・鼠径部に詰まり感・反動をつけないと立てない |
| 股関節の曲げ・詰まり感 | 無理のない範囲で股関節を曲げ、前側につっかかりや痛みがないか確認 | 前側が詰まる・奥で引っかかる感じ・左右で差がある |
| 歩き始め・動作の観察 | 歩き始め・階段・坂道・散歩中など、どの動作で違和感が出るか日頃から観察してみる | 歩き始めが痛い・階段で股関節が痛む・長距離で疲れやすい |
気になるサインがあっても、すぐに不安にならなくて大丈夫です。次に紹介するセルフケアで、股関節まわりを少しずつ整えていきましょう。ただし、痛みが強い場合や受診のサインがある場合は、無理せず医療機関に相談してください。
自宅でできる股関節セルフケア

自分でできることって、何があるの?

まずは体重をかけにくい横向きの運動から始めよう。少しずつが大事だよ。
股関節の痛みや違和感がある時は、いきなり強い運動を始める必要はありません。まずは、痛みを悪化させない範囲で、股関節まわりをやさしく動かすことから始めましょう。痛みが強い場合や、動かすほど痛みが増える場合は中止してください。
| ケア | 主な目的 | 特に気になる人 |
|---|---|---|
| 腸腰筋ストレッチ | 股関節前面の柔軟性 | 前側・鼠径部が気になる人 |
| クラムシェル | 中殿筋の活性化 | 外側が気になる人 |
| 横向き股関節外転 | 中殿筋トレーニング | 外側が気になる人 |
| お尻まわりのストレッチ | 柔軟性への働きかけ | 全般 |
| 歩く量は少しずつが基本 | 負担の管理 | 全般 |
腸腰筋ストレッチ
長時間座ることが多い人は、股関節の前側(腸腰筋)が硬くなりやすい傾向があります。片膝を床につけ、股関節の前側がじんわり伸びる位置でキープします。
- 腰を反らさない
- お腹に軽く力を入れる
- 「伸びて気持ちいい」くらいで十分
- 痛みが出る角度まで無理に入れない

クラムシェル
横向きに寝て膝を軽く曲げ、両足をそろえたまま上側の膝をゆっくり開きます。お尻の横(中殿筋)に体重がかかりにくい姿勢で行えるため、外側が気になる人でも始めやすい運動です。
- 腰をひねらない・骨盤を後ろに倒さない
- 膝を高く上げすぎない
- お尻の横を使う感覚を大切に

横向き股関節外転
横向きに寝て下側の膝を軽く曲げ、上側の脚をまっすぐ伸ばしてゆっくり上げ下げします。クラムシェルより可動域が大きく、中殿筋をより強く使う運動です。
- 体が後ろに倒れないようにする
- 脚を高く上げすぎない・反動を使わない
- 外側に痛みが出る場合は中止する

お尻まわりのストレッチ
椅子に座り、片方の足首を反対の太ももに乗せ、上体をゆっくり前に倒します。お尻の外側がじんわり伸びる感覚が目安です。
- 「伸びて気持ちいい」くらいで十分
- 呼吸を止めない・反動をつけない
- 痛みが出る角度まで倒さない

歩く量は「少しずつ」が基本
歩くことは股関節にとっても大切な習慣ですが、急に距離を増やしすぎると股関節まわりに疲労が蓄積しやすくなります。坂道・階段の多いコースも負担が増えやすいため、平坦な道を選ぶのがおすすめです。わんこの散歩中にリードを急に引かれてとっさに踏ん張った時も、股関節の外側に負担がかかることがあります。「今日は調子がいい」という日でも、痛みが出ない範囲で少しずつを意識してみてください。
こんな股関節痛は医療機関へ相談を

どんな時に病院に行けばいいの?

夜間痛、安静時痛、体重がかけられない時は早めに。自己判断で無理しないで。
股関節の痛みには、自宅で様子を見ながらケアできるものもあります。一方で、自己判断で続けないほうがよい痛みもあります。次のような症状がある場合は、整形外科など医療機関への相談をおすすめします。
| 症状 | 理由・注意点 |
|---|---|
| 安静時に強く痛む | 動作に関係なく痛む場合は自己判断しない |
| 夜間痛がある | 眠れないほどの痛みは早めに相談 |
| 体重をかけられない | 骨・関節の問題が隠れている可能性 |
| 転倒後から痛い | 打撲以外の問題が隠れていることも |
| しびれ・発熱・急な腫れ | 神経・炎症など別の問題の可能性 |
| 痛みが長引く・悪化する | 早めの受診が日常生活の支障を防ぐ |
自宅ケアで変わりにくい人へ

一人で続けるの、難しいな…

無理しなくていいよ。専門家に見てもらいながら始める方法もあるよ。
股関節の痛みや違和感は、自宅でのストレッチや軽い運動で対応できることもあります。ただし、フォームが合っているか不安、一人だと続かない、運動すると別の場所が気になる、という場合は、ピラティスやヨガ、パーソナルトレーニングなど、専門家に動きを見てもらうことも選択肢のひとつです。
⚠️ ご注意
体験参加時は股関節に痛みがあることを事前にスタッフへお伝えください。痛みが強くなる場合は中止してください。強い痛みや日常生活に支障がある場合は、まず医療機関へご相談ください。
💡 まずは体験1回から始められます
多くのスタジオやジムでは、初回体験から始められます。「どんな運動か知りたい」「続けられるか試したい」という段階から参加できます。
※サービスの内容・料金・体験条件は時期によって変わることがあります。体験申し込み前に各公式サイトでご確認ください。
Rintosull(マシンピラティス)
マシンを使うことで負荷を調整しやすく、体の痛みや姿勢の悩みについても相談しやすい環境です。体幹や姿勢を意識しながら動ける環境を整えており、自己流では確認しにくい動きのクセを見てもらいながら運動したい人との相性が良いことがあります。
BeatPilates(暗闇マシンピラティス)
暗闇の中でマシンピラティスを行うスタジオです。ピラティスは、体幹や姿勢を意識しながら動くエクササイズとして知られています。マシンを使うことで動作をサポートしやすく、運動初心者でも取り組みやすい環境です。音楽に合わせて体を動かしたい人や、これまで運動が続かなかった人との相性が良いことがあります。
LAVA(ホットヨガ)
ホットヨガスタジオです。温かい環境の中でゆっくり体を動かしたい人、こわばりをゆるめながら運動したい人に合うことがあります。
NEXUS(パーソナルトレーニング)
マンツーマンでトレーナーにフォームや動き方を見てもらいながら取り組みたい人に向いています。股関節まわりの悩みや姿勢の使い方についても相談しやすい環境です。自分のペースで進めたい人の選択肢になります。
ZENNA(オンラインパーソナル)
オンラインパーソナルトレーニングです。自宅で専門家に動きを見てもらいながら運動したい人の選択肢になります。通う時間が取りにくい人や、自宅での動き方を確認したい人との相性が良いことがあります。
📖 こんな方は、一度読んでみてください
- ✅ ストレッチをしても、股関節の違和感がまた戻ってくる
- ✅ 自分に合う運動が分からず、一人では続けにくい
- ✅ ストレッチや筋トレを意識しているのに、また股関節が痛くなる
体の使い方のクセは、自分ではわかりにくい部分が多いものです。気になる方は、専門家に一度動きを見てもらう機会を作ってみてください。
▶ ヨガ・ピラティスの違いと選び方を見るまとめ:股関節の痛みは、原因を分けて考えることが大切

結局、股関節の痛みって何が大事なの?

痛い場所をまず確認して、無理のない範囲で少しずつ動かしていくこと。それが、また一緒に歩き続けるための第一歩だよ。
股関節の痛みは、痛む場所や動作によって考えたい原因が変わります。まずは「どこが・どんな動作で痛いのか」を確認することが、ケアの第一歩です。
安静にしすぎず、かといって痛みを我慢して動かしすぎず。痛みが悪化しない範囲で、ストレッチや筋力トレーニングを少しずつ取り入れていくことが大切です。強い痛みや長引く症状がある場合は、自己判断せず医療機関に相談してください。
| 痛む場所の確認 | 前側・外側・お尻側・詰まり感で原因の方向性が変わる |
| セルフチェック | 片脚立ち・椅子からの立ち上がり・詰まり感・歩き始めの痛み |
| まず試すセルフケア | 腸腰筋ストレッチ・クラムシェル・横向き股関節外転・お尻まわりのストレッチ |
| 受診のサイン | 安静時痛・夜間痛・体重をかけられない・転倒後 |
| 一人で続かない時 | ピラティス・ヨガ・パーソナルトレーニングも選択肢 |
股関節だけでなく、腰・膝・肩の痛みも気になる方は、わんこと暮らす人の体のケアをまとめた記事も参考にしてみてください。
📖 あわせて読みたい
参考文献
- Teirlinck CH, et al. Effect of exercise therapy in patients with hip osteoarthritis: A systematic review and cumulative meta-analysis. PMC 2023.
- Fukushima K, et al. Prevalence of radiographic findings of femoroacetabular impingement in the Japanese population. Journal of Orthopaedic Surgery and Research. 2014;9:25.






