朝起きると首が痛い|枕は変えるべき?高さの確かめ方を理学療法士が解説

朝起きたときの首の痛みと枕の高さを確かめる

朝起きたときに、首が痛い。肩が重い。
そんな日が続くと、「枕が合っていないのかな」と考えたくなります。

整形外科で働いていると、私が担当する方から、寝具についてよくいただく質問があります。

「枕は、変えたほうがいいですか?」

わんこの散歩やお世話で身体を使っている方からも、よく聞かれます。

そして私はいつも、こうお答えしています。

「枕を変えて、痛みが減る可能性はあります。ただ、変えた枕が必ずご自分の身体に合うとは限りません。」

歯切れの悪い答えに聞こえるかもしれません。でも研究を調べてみると、この言い方がいちばん正確でした。この記事では、その根拠と、では実際に何をすればいいのかを書いていきます。

📋 この記事で確認できること

  • 今の枕が高すぎたり低すぎたりしていないかを確かめるポイント
  • 家にあるタオルで、高さを少しずつ調整するときの注意点
  • 買い替える場合に確認したい、高さ調整や返品・交換の条件
  • 枕を試す前に、医療機関へ相談したい症状

朝の首の痛みに、枕が関係することはあります。ただし「朝に痛い」というだけで枕が原因とは決められません。まずは今の寝具での寝心地を確かめるところから始めましょう。

この記事を書いた人

なかじま/理学療法士(経験15年)。整形外科クリニックで、首・肩・腰の痛みを訴える方の運動指導を担当してきました。枕そのものの専門家ではありませんが、「枕を変えるべきか」という質問には、数えきれないほど答えてきました。この記事では、研究でわかっていることと、まだわかっていないことを分けて書きます。

「正解の枕」を探す前に

枕を気にされるのは、自然なことだと思います。朝起きた瞬間に痛いのだから、寝ている間の何かが原因ではないか。そう考えるのは筋が通っています。

それに、枕はすぐ買い替えられます。姿勢を直したり運動を習慣にしたりするのは時間がかかりますが、枕なら今日注文できる。「自分にもすぐできること」として、いちばん手が届きやすいのだと思います。

ただ、ここに落とし穴があります。ネットで「首 痛い 枕」と検索すると、「この枕がおすすめ第1位」という記事がずらりと並びます。読んでいるうちに、「正解の枕がどこかに存在していて、それを買えば解決する」という気持ちになってきます。

実際のところは、少し違いました。研究が示しているのは、もっと地味で、もっと個人差のある話です。

のあ
のあ

じゃあ結局、枕は変えたほうがいいの?

ぷっく
ぷっく

まずは、研究で何がわかっているのかを見てみようか。

枕を変えて楽になる人は、います

枕と首の痛みについては、2021年に発表された系統的レビューとメタ分析があります※1。過去の研究を集めて全体像を出す方法で、35本の論文から質の高い9本(合計555人)の結果がまとめられました。

調べた項目 結果
首の痛み ゴム素材(ラテックス)の枕で、減る方向に差が出た
起床時の痛み 減る方向に差が出た
首の痛みによる生活の支障 改善する方向に差が出た
枕への満足度 はっきりと高くなった
睡眠の質 統計的に明確な差は確認されなかった

つまり、枕を変えることで首の痛みが軽くなる方向のデータは、たしかに存在します。「枕なんて関係ない」と切り捨てるのは、正しくありません。

ただし、首の痛みについて示された変化は、統計上「小さい」と分類される範囲でした。「ぐっすり眠れる枕」という売り文句をよく見かけますが、少なくともこの解析では、睡眠の質に差は出ていません。

ただし、研究の結論は一致していません

ここからが大事なところです。枕の研究は、まだ結論が出そろっていません。

2025年のレビューでは、明確な結論は出せないとされています

2025年に発表された系統的レビューでは※2、慢性的な首の痛みがある方を対象にした研究が集められ、条件に合った5研究・239人の結果が検討されました。

痛み わずかな改善はあったが、統計的に明確な差ではなかった
生活の支障 研究によって結果がばらついた
睡眠の質 統計的に明確な差はなかった

研究によって方法も評価項目も枕の特徴も異なるため、どの枕が優れているかについて明確な結論を出すことは難しい、というのが著者らの見解でした。ラテックス・フォーム・標準的な枕のいずれについても、はっきりした優位性は示されていません。

2021年の解析とは対象も条件も違うので、新しいほうが古いほうを打ち消した、という関係ではありません。対象者や比較条件などが異なるため、結果を単純に比較することはできません。

首の骨に変化がある方では、差が出なかったという報告も

2019年には、画像検査で首の骨に変性(加齢による変化)が確認された47人を対象にした試験が行われました※3。ラテックス枕・ポリエステル枕・普段使っている枕を、期間を空けながら順番に使ってもらう方法です。

全体として、どの枕も、いずれの指標も有意に変化させなかった。

研究者たちは「一般の方では枕の変更で起床時の症状が改善すると報告されているが、首の骨に変性がある人では、その結果を再現できなかった」と述べています。ただしこの研究は47人と小規模で、著者自身が「今後は400人以上での検証が必要」としています。

まとめると、こうなります

言えること 枕を変えて首の痛みが軽くなったという報告はあるが、結果は一様ではない
言えないこと 誰が変えても楽になる、とは言えない。どの枕が優れているかも定まっていない
わかっていないこと どんな人にどの枕が合うのかを、購入前に確実に判断する方法

冒頭の答え方をしているのは、今わかっていることを言葉にすると、こうなるからです。

のあ
のあ

研究でもはっきりしてないんだ……。じゃあ何を目安にすればいいの?

ぷっく
ぷっく

無理なく試せるなら、今の寝心地が手がかりになるよ。迷うときは相談していいんだ。

素材名だけでなく、寝たときの高さも確認する

先ほどの2021年のメタ分析には、もうひとつ興味深い記述があります。首の骨の並び方については、枕の形状や高さが影響する可能性が示されています※1

ここは慎重に読む必要があります。これは「首の骨の並び方」についての話で、「痛みには素材より高さが重要」と示したものではありません。痛みについては、先ほどの表のとおりゴム素材で差が報告されており、別の話です。

ただ、読者にとって現実的なのは、こういうことだと思います。

💡 実際に選ぶときは
素材名だけで決めず、実際に寝たときの高さや支えられ方も確認する。同じ素材でも、製品によって高さも硬さも違います。

横向きでは、肩幅も手がかりになります

2025年に発表された生体力学の研究では、横向きで寝たときの首の骨の並び方が、モーションキャプチャと筋骨格モデルを使って調べられました※4。8cm・10cm・12cm・14cmの枕を使い、首の支えの有無も含めて比較しています。

その結果、肩幅と枕の高さを組み合わせた指標で、首のカーブの形をよく説明できたと報告されています。

理屈としては素直な話です。横向きに寝ると、頭とマットレスのあいだに肩の厚みぶんの隙間ができます。肩幅が広い人ほどこの隙間は大きくなり、狭い人ほど小さくなります。

ただし注意点があります。この研究の参加者は9人で、いずれも健康な方です。そして「どの高さなら朝の首の痛みが減るか」を患者さんで確かめた研究ではありません。肩幅だけで必要な高さが決まるわけでもなく、体型やマットレスの沈み込み方によっても変わります。

私自身は、高さのある枕が落ち着きます

個人的な話ですが、私は筋力トレーニングを続けていることもあって、肩幅が広いほうです。そして、低い枕より高さのある枕のほうが落ち着きます。これはあくまで私個人の体験で、同じ枕が誰にでも合うという意味ではありません。

逆に言えば、私が「これは良い」と感じた枕を、肩幅の狭い方が使えば、高すぎてつらいかもしれないということです。おすすめランキングがあてになりにくい理由が、ここにあります。

寝る姿勢によっても変わります

横向きが多い 肩の厚みぶんの隙間を埋める必要があるため、あお向けより高さが要ることが多い
あお向けが多い 頭の後ろとマットレスの隙間は小さいため、横向きほどの高さは要らないことが多い
寝返りが多い 両方の姿勢をとるため、どちらかに極端に寄せると、もう一方でつらくなることがある

一晩のうちに姿勢は何度も変わります。「この高さが絶対の正解」というものは、そもそも存在しにくいのだと思います。

今の枕の高さを、確かめてみましょう

試す前に確認してください

痛みが強い場合や、手足のしびれ・力の入りにくさがある場合は、枕を調整する前に医療機関へご相談ください。受診の目安はこちら

ここで紹介するのは、今の寝心地を確かめる工夫です。痛みの原因や最適な高さを判定する検査ではなく、紹介した研究がタオル調整の効果を直接証明しているわけでもありません。

誰にでも合う枕を、購入前に確実に見分けることは難しいものです。そのなかで高さは、枕の調整機能や家にあるタオルで、少し変えて確かめられる要素のひとつです。

無理なく試せる場合は、寝心地を確認する手がかりになります。痛みが強い場合や、調整の方法がよくわからない場合は、無理に試す必要はありません。

まず、今の状態を見てみる

いつも使っている寝具で、横になってみてください。

高すぎるかも 横向きで、頭が持ち上げられているように感じる/あお向けであごが引けすぎて苦しい
低すぎるかも 横向きで、頭がマットレス側へ落ち込むように感じる/首まわりに支えがなく不安定

※これらは高さを断定する基準ではありません。同じ感じ方でも、枕の形や硬さ、マットレスの沈み込みが関係していることがあります。

見た目だけで正解を決めようとせず、首のつらさや寝返りのしやすさもあわせて確かめてください。ご家族に横から見てもらうと、自分では気づきにくい傾きがわかることもあります。

感じ方に応じて、少しだけ調整する

今の感じ方 やってみること
低く感じる 薄手のタオルを1枚、平らに畳んで枕の下に敷く
高く感じる 中身を出し入れできる枕なら少し減らす/調整シートがあれば1枚外す
高いが、調整できない枕 切ったり中身を取り出したりして加工する必要はありません。ただしつらい状態で使い続けず、販売店に調整・交換ができるか確認しましょう。痛みが続く場合は医療機関にご相談ください。買い替えを考えるときは「高さを調整できるもの」を候補に
よくわからない 無理に変えなくて構いません。判断がつかないまま調整を続けると、かえって分かりにくくなります

バスタオルを何重にも折ると一度に数cm変わってしまうので、足すときは薄く。変化は少しずつのほうが、違いに気づきやすくなります。高いと感じているのに、さらにタオルを足す必要はありません。

まず、起きているあいだに試す

調整したら、いきなり一晩過ごすのではなく、起きているあいだに、いつもの寝姿勢で横になってみてください。この時点で首のつらさが出る、しびれが出る、あるいは強くなるようなら、そこで中止します。

無理なく過ごせそうなら、そのまま使ってみます。翌朝、首の感じと、夜中に目が覚めたかどうかを簡単にメモしておくと、あとで振り返りやすくなります。

確かめるときの注意点

  • つらくなったら、すぐ元に戻す。我慢して続ける意味はありません
  • 楽に使えた場合でも、一晩の結果だけで「合った」と決めない。体調やその日の疲れでも、朝の感じ方は変わります
  • 一度に大きく変えない。薄手のタオル1枚ぶんずつが目安です
  • タオルは平らに、しっかり畳む。崩れると高さが変わり、何を試したのかわからなくなります
  • 変えたことを記録しておく。同じ時期に他のことも始めると、どれが影響したか判断しにくくなります(通院中の治療や運動を中断する必要はありません)

この方法でわかること、わからないこと

調整したときの寝心地の違いは、次に枕を選ぶときの手がかりになることがあります。家にあるタオルで確かめられて、合わなければ外せば元に戻ります。

ただし、楽になったとしても「枕が原因だった」と確定できるわけではなく、変わらなかったとしても「枕は関係ない」と決められるわけでもありません。

それでも、何も確かめないまま買い替えるより、判断の材料がひとつ増えます。

のあ
のあ

手がかりがわかったら、買いに行っていいの?

ぷっく
ぷっく

その前に、確認しておきたいことがあるよ。

買い替えるときに、確認したいこと

合う高さは人によって違い、購入前に確実に見分けることは難しいものです。だとすれば、選ぶときに見るべきなのは「合わなかったときにどうできるか」だと思います。

確認したいこと なぜ
高さを細かく調整できるか 中材や調整シートで変えられれば、買ったあとに合わせ直せます
返品・交換ができるか 条件・期限・送料負担は販売店や製品によって違います。購入前に確認しておきましょう
表示の高さだけで判断しない 「高さ10cm」と書かれていても、頭を載せれば沈みます。寝たときにどうなるかが実際の高さです
普段の寝姿勢で試せるか 売り場で横になれるなら、あお向けだけでなく横向きでも確かめられると参考になります

ただし、店頭のマットレスと自宅の寝具は違います。沈み込み方が変われば、同じ枕でも高さの感じ方は変わります。店頭で良かったからといって、自宅でも同じとは限りません。

だからこそ、返品・交換の条件を先に確認しておくことが効いてきます。「使用後は返品不可」という商品もあれば、一定期間の返品保証を設けている商品もあります。合うかどうかは試さないとわからないのですから、ここは大きな違いになります。

枕とあわせて見直したい、日中の過ごし方

朝の首の痛みを、枕だけで説明できるとは限りません。日中、同じ姿勢を長く続けていないか、首や肩がつらくなる場面がないかも、あわせて振り返ってみてください。

デスクワークやスマートフォンを見ているとき、わんこの散歩でリードを引かれたとき。無理のない範囲で姿勢を変え、同じ姿勢を続けすぎないようにすることも、見直しのひとつです。

実際、枕を新調してしばらくは調子が良かったのに、また元に戻ってしまった、という話はよく聞きます。痛みが続く場合は、枕以外の要因も含めて医療機関でご相談ください。

枕を試すこと自体は、悪いことではありません。ただ、それだけで全部が解決するとは考えず、日中の使い方とあわせて見ていく。そのほうが、遠回りが少なくなると思います。

こんな症状があるときは、医療機関へ

首の痛みには、寝具の調整で様子を見てよいものと、そうでないものがあります。

🚨 次の場合は、ためらわず119番通報を

  • 突然、これまで経験したことがないほど激しい頭痛が起きた
  • 突然、顔や手足にしびれが出た/力が入らなくなった
  • 突然、言葉が出にくい・ろれつが回らない
  • 突然、顔の片側が動かしにくくなった
  • 突然、まっすぐ歩けなくなった・立てなくなった
  • 発熱とともに、強い頭痛や首の強いこわばりがある
  • 意識がはっきりしない、呼びかけへの反応がおかしい
  • 交通事故や転倒・転落の直後で、首を動かせないほど痛む

これらは脳や首の重大な病気・けがの可能性があり、時間が経つほど不利になることがあります。症状がすべてそろうのを待たないでください。「様子を見よう」とせず、すぐに救急要請してください。

次のような場合も、早めに医療機関へご相談ください

早めに受診したいとき 理由
手や腕のしびれが続いている(急に起きたものではない) 神経が関係している可能性があります
手の細かい作業が、以前よりしづらくなってきた 早めに評価が必要な場合があります
じっとしていても痛い/夜中に痛みで目が覚める 姿勢と関係なく痛む場合は、別の原因を考える必要があります
発熱を伴う(上記の救急症状はない) 感染などが隠れていることがあります
原因不明の体重減少や、強い全身のだるさを伴う 首以外の評価が必要な場合があります
痛みが悪化している/睡眠や日常生活に支障が出ている 数週間を待たず、早めに相談してください
数週間たっても変わらない 自己判断で続けず、一度みてもらいましょう

上記の救急症状がない場合で、どこを受診すべきか迷うときは、まず整形外科やかかりつけ医で診察を受け、必要な検査や対応を相談してください。首の痛みは原因の幅が広く、必ずしも画像検査が要るわけではありません。

まとめ|「良い枕」より「合う高さ」を探す

枕は、朝に首が痛いという理由だけで、すぐ買い替える必要はありません。いまのご自分の状況に近いところを見てみてください。

いまの状況 次にできること
今の枕でつらさがなく、高さの違いもよくわからない 無理に変えなくて構いません。ただし朝の痛みが続く場合は、相談してみましょう
高さが気になり、無理なく調整できる 低く感じれば薄手のタオルを1枚足す、高く感じれば調整できる範囲で減らす。つらくなったら中止
今の枕ではつらく、調整もできない 販売店に相談する、または調整の可否・返品条件を確認して買い替えを検討する
痛みが強い・悪化している・しびれがある 買い替えや調整より、医療機関への相談を優先してください。救急症状があれば119番です

買い替える場合も、商品名や素材だけで決めず、寝たときの支えられ方と、合わなかったときにどうできるかを確認しましょう。

研究を読んでも、臨床で見てきた範囲でも、「この枕がおすすめです」とまでは言えませんでした。ただ、買う前に確かめられることは、いくつかあります。

のあ
のあ

なかじま、まずは枕を買い替えるの?

ぷっく
ぷっく

今の高さや寝心地を確かめてからだね。つらいときは、無理して試さなくていいんだよ。

参考文献
  1. Chun-Yiu JP, Man-Ha ST, Chak-Lun AF. The effects of pillow designs on neck pain, waking symptoms, neck disability, sleep quality and spinal alignment in adults: A systematic review and meta-analysis. Clin Biomech (Bristol). 2021;85:105353. PubMed
  2. Ghosh S, Goyal M, Goyal K. Effect of pillow on pain, disability and sleep quality in patients with chronic neck pain: A systematic review. Rehabilitacion (Madr). 2025;59(3):100922. PubMed
  3. Gordon SJ, Grimmer KA, Buttner P. Pillow preferences of people with neck pain and known spinal degeneration: a pilot randomized controlled trial. Eur J Phys Rehabil Med. 2019;55(6):783-791. PubMed
  4. Tian S, Yao C, Wang Y, Cao X, Sun Y, Wang L, Fan Y. The individualized optimal pillow height and neck support design for side sleepers. Med Biol Eng Comput. 2025;63(2):535-544. PubMed

※この記事は、2026年9月時点で確認できた研究をもとに作成しています。特定の製品の効果を保証するものではありません。症状が続く場合や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました